香港にやって来た@洗濯とは

 いろいろあって、目下一週間ほど香港に居る。そんで月末まで居ることになっている。その後のことは、まだわからない。


 で、まあ半月くらいのロング・ステイなので、これまでの旅行感覚では味わわなかった予期せぬ小さな小さな障害に出くわす。例えば、爪。今キーボードを売っている指の爪が長い。香港中の壁に貼られたシールを剥がしてまわるにはうってつけかもしれないが、僕はこんな仕事で香港に来ているわけではない。で、職場にも爪切りが常備されていないため、今の状態まで放置されている按配だ。まあ来週現地の誰かに家から持ってきてもらうよう頼むしかない。でも実は足の爪も伸びてきているのだ。だが、職場で誰かから借りた爪切りを使って、靴下を脱いで、足の爪を切るというのも忍びない。「ちょっとお借りします」といって席を外して、トイレかどっかで足の爪を切るというのもあるが、貸した側の人間からすると、爪切りを持ってどこかに行かれるのも気持ちが悪いだろう。いかんともしがたい。まあ足の爪は我慢するしかなさそうだ。ともあれ、少なくとも手の爪に関しては、どうにかなりそうなのだが、どうしようもないもののひとつに洗濯がある。


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 今回トランクに詰めてきたのは7日分の下着。で、僕の中では街中のコインランドリーで洗濯すればいいやと、当初予定していた。がしかし、現地のスタッフに聞いてみると、まず街中のコインランドリーは汚いと。出来上がりこそは、それなりなのだが、「ここで洗濯するの?」とかなり滅入るような環境下におかれているのだとか。またホテルのクリーニング・サービスだと、非常にお金がかかり、しかも3日ほど時間がかかってしまうらしい(そもそも香港は物価が高く、周知の通りの円安なので金はなるべく使いたくない)。となると残された手段としては、自分で洗うしかないのだ。おばあさんが川で洗濯をするように、バスルームでの洗濯だ。


 バスルームにて、自分の身体と自分の下着を並行して洗いながら思ったのだが、洗濯ってそもそもどうやるんだろうか、ということ。洗濯機ではなく、手動での洗濯ね。どれくらいの石鹸を使用して、どれくらいの時間揉み洗いすれば汚れが落ちるのか。そもそも汚れってなんだろう。別に何かのソースをこぼしたり、シミができてるわけでもないシャツって、どうすることが「洗濯」と呼べるのだろうか、と。自分が今やってることって、シャツを濡らしてから乾かそうとしているだけなんじゃないかって。


 それでも、洗濯するということは、石鹸を泡立てて、ゴシゴシと揉み洗いをすればいいことは何となくイメージできる。加減こそはわからなくても、形はわかる。自分が子どもの頃、急遽必要になった洗い物を、母親がそうやって洗っているところを目にしているから。あと、ちょっと古い昭和初期を舞台にしたドラマや映画なんかでも、タライと洗濯板で貧乏な家族の母親が、幼子を背負って、汗をかきながら洗濯しているシーンなどを見ているので、そういう洗濯ってのもあるんだなと、僕の頭の中にはそれとなくインプットされている。ただ、今の若い子って、こういったアナログな洗濯ってイメージできるのだろうか。洗濯機と粉洗剤とボタンがないと洗濯できない人って意外と多いんじゃないかな。ってなことを、香港のバスルームにて思ったのでした。恵まれすぎた文明は人間を弱くしますね。当り障りのないオチですが。