平成最後の

 来年になったけど、去年の今年の漢字でも。


 年末も年始も今もなお聞き飽きたくらいに言われ続けている「平成最後の――」というフレーズ。確かに最後といえば最後なわけで、なんら間違いはないのだが、実際年号が変わったとことで、僕らの生活は劇的に変わるわけでもないし、5月からの毎日も思ってる以上に何事もなく通り過ぎていくんだろうなと、ある程度シラケた思いの自分もいる。騒ぎ過ぎだろうと。とはいえ、前もって最後がわかっているということは、受け入れる側も気持ちや環境や心身ともに諸々整理ができて悪くないことのようにも思える。たいていの物事というのは、知らない間にゆっくりと進行し、気づかないうちに手遅れになっているもの。特に良くないことは。ああ、なにかが終わって、次になにかがはじまるんだなと、しみじみと噛みしめる余裕があるというのは、贅沢なことなのかもしれない。僕にとっても、期せずしてまた金沢での生活がはじまった1年でもあったわけで、大きな太い文字で「区切り」と書かれたような平成最後の年だったように思える。


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 ということで、僕の今年の漢字「幕」。終了の意味も、開始の意味も持ち合わせている「幕」。でも、「平成最後の――」という幕が降りるイメージではなく、「新しい年号最初の――」という幕が開く意味合いの方がポジティブでいいのかもしれない。平成の最後に、新しい幕が開くのを待っていた1年というような。