材料がなさ過ぎる

 今年はすごくあっさりとした1年に感じた。一大ニュースであった消費税増税も、「2014年の出来事」と言われてもいまいちピンとこないほどなのだ。4年に1度のサッカー・ワールドカップも、結果がそうさせているのだろうがほとんど印象に残っていないし、野球も、ドラゴンズの成績の影響で熱心に応援した記憶がない。ツエーゲン金沢は見事J2昇格したが、観戦したのはホームのラスト・ゲームだけなので、サポーターとして「共に勝ち取った」というような実感はさらさらない。本も読んでないし、映画もたいして観てないので特別語ることがなく、9月に台湾には行ったが、それ以外の遠出はなく、つまりは何事においても心に残るインプットがなかったことになる。


 とまあ、振り返ってみると本当に薄っぺらい1年だったなと感じる。良く言えばあっさり、悪く言えば薄っぺらい。すべての出来事、印象が鮮度を失ってぼんやりしている。


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 実は毎年、12月12日のこの時期というのは個人的に楽しみで、つまりは自分版の「今年の漢字」というものを決めているのだが、今年は、2014年を象徴する「何か」を決めることすら億劫と感じる1年だった。材料がなさ過ぎるのだ。


 いっそのこと「該当なし」という1年にしようかなとも思ったのだが、それも「逃げ」のような気がするので、この文章を書きながら考えてみることにした。先に走りだしてから、目的地を見つけるってやつだ。で、見つけた漢字というのが「薄」。通常の倍以上の水を加えた墨汁で弱々しく書いた「薄」という字。その存在感のなさに、あやうく見逃すところだったが、どうにか見つけることができた。良い悪いは別として、ふさわしさで言えば今年の自分にマッチしていると思える。


 まあ、今年にふさわしい漢字が見つかった達成感と、その漢字が意味する物足りなさで痛し痒しなのだが、せめて残りの3週間くらいは濃い時間を過ごしたいと思う。

◆「今年の漢字」は「税」 NHKニュース (2014.12/12)


ことし1年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、消費税の増税が話題になったことなどを理由に「税」という字が選ばれました。

今年の漢字」は、京都に本部がある日本漢字能力検定協会がその年の世相を表す漢字一文字を一般から募集し、最も多かった字が選ばれます。ことしは16万通余りの応募の中から「税」という字が選ばれました。
(後略)