性善説を口にしよう

 ラジオで聞いた話。


 銀行のATMで操作がわからずに困っている老人に声をかけて、手伝ってあげたという投稿者の話でした。その後、その老人は礼を述べて、「どこに行っても、あなたみたいな親切な人がいるから助かるわ」と言ったそうです。その老人は90歳になるおばあちゃんだったとか。


 この話ではっとしたのは、おばあちゃんは作業を手伝ってくれた投稿者「個人」に対して礼を述べるだけでなく、世の中全体に対する感謝を述べているということです。こういった見方、生き方をすれば90年だろうと100年だろうと、さぞかし幸せに生きられるだろうなと、投稿者も最後に感想を書いていました。


 僕はこのおばあちゃんの、この上ない性善説に心を揺さぶられました。ましてや銀行での話です。昨今のATMなんて、そこら中に防犯用のミラーが取り付けられ、「振り込め詐欺に注意」「その振込ちょっと待った!」のある種脅迫的なアラートなど、もうとにかく世の中悪者だらけであることを前提として注意喚起がされています(もちろんそれが必要なわけなのですが)。そんなポスターやステッカーの前で、「どこに行っても、あなたみたいな親切な人がいる」と、世の中を見ているわけです。


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 僕は性善説でものを見ることができる人が好きです。何を見ても愚痴や文句を言う人というのは世界が狭いように感じし、いちゃもんをつけることで笑いが取れると勘違いしてる人はとても興ざめします。もちろんケース・バイ・ケースであり、今の世の中、疑ってかかることも生きるコツであることは間違いありません。しかし、頭のなかはどうあれ、少なくとも口にする言葉というものは性善説であるべきなのでしょう。まあ、きれいごとだけで上手に生きていくことはできません。でも、だからこそ、はっとした話だったのだと思います。