台湾に行ってきた@走れなかった話

 思い出したかのように台湾の続き。


 今回の旅行中の機内で、はじめて知ったのだが、台湾というピーナッツみたいな形をした島の真横に、日本の沖縄県西表島石垣島がある。もうホントに真横だ。距離的には、石垣島から那覇市に行くよりも、台湾島に行くほうが俄然近い。台湾と沖縄が近いと感じるか、沖縄が日本本土から随分離れていると捉えるかは人それぞれだが、とにかく世界地図(Google Map)を眺めていると、台湾と日本の位置関係というものが、自分のイメージとは違って新鮮に感じた。


 まあとにかく僕が言いたいのは、台湾というのは、日本本土よりも随分「南」に位置しており、イコール暑い国だということだ。


 ということもあって、旅行荷物の中にランニング・シューズとTシャツ、短パンを忍ばせて日本を出た。できれば時間を見つけて台湾の街を走ってみようという目論見だ。特にこういう暖かい国で、走って汗を流すことほど健康的なものはない。以前、ハワイ旅行のときも適当に走ってみたし、ニューカレドニアでも思いつくままにジョギングをした。どちらも夕方で、昼間に観光をして夕食までの空いた時間だった。陽が傾きかけ、日中の暑さが心なしか和らぎ、ときより何か言いたげな風が吹いてくる時刻。「夕方」が醸し出す、物寂しさというのは全世界共通だなと感じる。この物寂しさの中、知らない街を一人で走る力強さのコントラストが、非常に充実感を与えてくれるのだ。どこからでも見える高いビルやホテルなんかを目印に、それを見失わないように、知らない街をぐんぐん走る。もちろん多くのジョガーとすれ違う。その度に、もし道に迷っても大丈夫だと安心する。なぜなら街を走るという同士がいるわけだから。そんな風に、観光ブックやツアー・パックにないストリートを走っていると、「世界」を舞台に走っているような錯覚と浪漫を感じる。「一人」で困難に立ち向かうタフさとパッションを実感する。もちろん自己満足なのだが。まあとにかく、こんな経験もあったので、台湾でも走ってみようと思ったわけだ。


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 だがしかし、結論的には、台湾でランニング・シューズを履くことはなかった。Tシャツも着ることはなく、トランクから出され、そしてまた同じ位置に仕舞われた。単純に時間が取れなかったせいだが、こんなのは言い訳に過ぎない。時間を取ろうとしなかっただけだ。じゃあなぜ時間を取ろうろしなかったか。一番の理由は、iPhoneの「RunKeeper」というアプリが上手く使えなかったことにある。普段日本で走るとき使用している、走った時間、コース、距離を計算してくれるというアプリだ。走ったタイムだけならストップ・ウォッチ機能でも計測できる。が、問題は距離だ。海外でインターネット回線が使えないため、位置情報が取れない。となるとコースと距離が計測できないということになる。そんなの片手落ちだなと感じ、うじうじしていたため、早起きすることも夕方に時間をつくることもしなかった。


 なんだか、技術に縛られてるなと感じざるを得ない。走った記録が正確に残せないから、走らないとか。


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 前述のハワイやニューカレドニアを走ったときは、ランナーズ・ウォッチでのタイムのみの記録だった。「1時間15分走りました」みたいな。位置情報は取れないので距離はわからない。で、後日日本に帰ってから、走ったコースを検索し、別途距離を測り、元々あったタイムと、コース・距離を紐付けた。まあ、当時は、自分のランの記録自体、こういう方法でしか登録できなかったので、別段不便さは感じなかった(ジョグ・ノートというサイトを使っていた)。むしろ記録できることに喜びを感じていたくらいだ。でも今はiPhoneの「RunKeeper」を起動すれば、走った時間はもちろん、距離もコースも、勝手に取得し記録してくれる。当然、1キロを何分で走ったかのペースも割り出される。もうこれに慣れきってしまってるのだ。だから走った時間だけわかっても物足りない。むしろ距離とペースが瞬時に把握できないと、走ったのに手応えがわからず、勿体無いと感じてしまい、そうこうしているうちに3日間の滞在が終了したわけだ。


 海外に行ったときくらい、iPhoneをホテルに置いて、本能の赴くままに走ってみるのが一番なんだろうけどね。それこそ何キロを何分で走ったかというマジ記録というより、体感した思い出の方が重要なわけだから。でもまあムリだろうね。僕らは、facebookでもTwitterでも、「記録」することで存在意義を主張することに大きな価値を感じていて、この束縛から逃れるのは、また別の技術が登場するまで難しい。本末転倒もいいところだなと思った。


 ちなみに、走りはしなかったが、朝少し早く起きて散歩くらいはした。で、感じたことは台北市内という土地柄もあってか、ジョギングをするには相応しくない街だなとは感じた。とにかくゴミゴミしているのだ。事実走っている人を見かけた記憶もない。