雷と冬

 金沢では、ここ2~3日ずっと雷が鳴っています。


 実は、金沢天気で好きだなと思っているもののひとつに、この雷があります。冬がやってくる前に、決まって大きな雷が鳴る夜が何度かあるわけです。カタカナでバリバリバリと殴り書きされた活字が窓の外から飛び込んでくるような大きな音が鳴り、一呼吸置いて、どこかに落ちたのか地震ように地面が揺れます。時間はたいて夜中や明け方なので、この音や揺れで薄っすら目を覚まし、ああまた今年もこの季節が来たかと思いながら、再び強い眠りに引きずり込まれるわけです。そして朝が来ると、それが夢であったかのようにも思うのですが、現実には非常に寒い1日が待っており、何か別の世界がはじまったような実感が生まれるのです。冬がやって来るわけわけです。そして次こうした雷が鳴った翌朝には雪が積もっています。何度かのステップを経て冬に突入していくわけです。そして春になるまでどんよりとした曇りか雨か雪の日々が静かに続いていきます。僕は、東京でもどこでも冬が来る前、寒くなる時期にはこの雷のような明確な線引きがあると思っていましたが、どうやら金沢、北陸だけのようですね。


 もちろん、雷が鳴っているのは気持ちの良いものではありませんが、寒い季節が来る前の忠告めいた現象に感じるところがあるのです。僕らはここから何かを覚悟しないといけないなと。


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 ので、この雷が2日も3日も続くと、なんだかおかしなことになってるなと思わざるを得ません。まあ別に温暖化だとか異常気象だとか難しいことはわかりませんが、個人的には年に数回しかない冬を告げる雷というプレミア感がなくなってしまうなと感じたわです。昼間もずっと鳴りっぱなしなわけですし。


 まあとにかく、いよいよ寒い冬がやってきます。歳のせいか、年々寒い季節が厭だなと思うようになってきましたが、北陸で生活する限りは、この寒さもアイデンティティと思って暮らしていきたいですね。