車の話

 僕が乗っている車はダイハツのムーブという軽自動車になる。


 東京に居た頃は、生活に車などなんら必要なく、優良ペーパー・ドライバーだった。そもそも僕は「車」というもの自体に興味関心がなかった。だから帰省して車が必要になったときも、当り障りのない文字通りライトな車を選んだ。つまり車を買うにあたって、こだわりもなく、強い希望があったわけでもない。別になんだって良かったわけだ。


 だが、金沢のような地方都市での生活には、車は欠かせない。ので、気づいた頃には運転や駐車にも慣れ、車にも愛着が出てきた。また、ムーブのダッシュボードまわりは、シンプルで見やすいデザインになっており、たまに乗車する人間からも軒並み好評である。そしてウインカーを出したときの音が非常に歯切れ良い。あの「カチコチコチ」とかいう効果音だが、確かに他の車に乗ったときに軽くチープな音だったり、無駄に重くもったりした音のときもあるが、僕のムーブは違う。左折はスムーズに右折もアクティブに行ことを促進させる軽快な音具合なのだ。他人からしてみれば、30代の男が軽を運転してることに違和感を感じるかもしれないが、やはり5年も6年も使っているものには親しみを感じる。


 ただ、それでもどうしても気に入らない点がある。それは雪が降ったときに必ず起こる。


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 車体に雪が積もった状態で、運転席のドアを開けると、雪が車内に、それも見事なまでに運転席のシートの上に落ちてくるのだ。わざわざ、そう設計したかのように毎度必ずシートの上の同じ位置に奴らは漂着する。同じようにバックドアを開けても、雪が雪崩れ込んでくる。置いてある荷物の上に、意地の悪い子泣きじじいのようにどすんと落ちてくる。


 わかってるんだったら、あらかじめ注意しろよと貴方は思うかもしれない。もちろん僕は注意してドアを開ける。というかドアを開ける前に、雪崩の危険を感じる部分の雪を素手で払い落とすわけだが(そもそも、この行為も億劫である)、それでも僕が見逃した屋根とドアの境目にあった雪が「残念でした」と言わんばかりに現れ、そして一瞬にしてシートを湿らす。もう今となっては、僕もたいして気にせず、そこに座るようになってしまっているくらいだ。


 で、僕が言いたいことはというと、この車を設計、デザインする上で「雪」というものを想定していなかったのかなと感じるのだ。ムーブのデザイナーとディレクターは暖かい地方の出身者だったのかもしれない。北陸では、冬になると「雪国でも安心」とったスタッドレスタイヤのCMがひっきりなしに流れるが、足元だけでなくボディの方にも雪国に気を使った仕様を設けてほしいものだ。

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