天気の話

 非常に短い期間だが、大学で軽音サークルに所属してた時期があった。そこでは当然、サークルに所属するバンドが順番に演奏をする「発表会」のような催しがあった。1つのバンドの演奏が終わると、次のバンドに交代するわけだが、時間にすると5分から10分弱の準備の時間、客(といってサークルのメンバーなのだが)にとっては「待ち時間」ができる。で、ただぼんやりと待っていてもしょうがないので、司会進行役が割り当てられ、「かっこいい演奏でしたね~」「さ、次はいよいよ○○先輩の出番です」みたいなトークをするわけだ。待ち時間も、みんなが参加して楽しい時間にしましょうということだろう。で、僕はそんな司会などるするようなキャラじゃなかったので、ホールで「なんかやってるな」と他人事のように眺めていただけなのだが、その司会進行において、ひとつのルールがあったそうだ。「天気の話はNG」とか。


 当時は、どうして天気の話をしたらいけないのかわからなく、また天気の話なんかしなくても5分くらいなら、いくらでも喋ることはあるだろうくらいに思っていた。だからこそ、こんな細かいエピソードを覚えてるわけだ。「天気の話はNG」、なんでわざわざこんなルールができたんだろう。


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 で、最近の話なのだが、部署内の朝の簡単な朝礼時に、当番制で1人なんでもいいので小話をするようにしている。「こないだの休みに行った□□という店の焼き肉がおいしかった」とか「最近買った◇◇という空気清浄機が非常に良いです」みたな。でも、そこで出てくる話は、天気の話が非常に多い。次にテレビの話。でもやっぱり圧倒的に天気や気候の話が多い。「暑くなっています。水分補給して、体調管理気をつけましょう」みたいな。またそれかと思ってしまう。


 でも、実際問題、天気の話ほど便利で、無難で、当たり外れ(ウケる、スベる)のない話題はない。言葉に詰まったら、暑いとか寒いとか言っとけば間違いないと言い切れる。だって誰もが、好き嫌いや興味関心なく、天気には関わっているわけだ。暑い寒い過ごしやすい、ほど万人に共通のシチュエーションってものはないだろう。一方で、天気の話に頼っていてはトークの幅が広がらないとも言い切れる。だから当時のサークルのMCでも禁止令が出ていたんだろう。「きのう雨降りましたね」とか「台風来てるみたいですよ」とか、別に誰が喋っても同じになるテーマだ。ここから個性的な喋りには、どうしたって発展できないし、喋っている「その人」が、どういう人なのか踏み込んだことまではわからない。そういう意味では、まったく意味のない会話となり、空気みたいな存在なわけだ。


 まあもちろん汎用的であるからこそ、初対面の人や客を和ますときに使える話題でもあるわけだけどね。その辺をきちんと使い分けられるようになれるといいんだけどな。僕自身も。