森繁和著『参謀』を読んで

 ご存知、中日ドラゴンズ前ヘッド・コーチの森繁和の著書。これまで、組織のリーダーやボス、または完全な裏方さんの著作はいくつか読んだが、ナンバー2というポジションからの作品というのは意外と新鮮かと思った。こういう切り口の本はもっとあって良いのではないだろうか。


 とにかく、この頃の落合・森体制のドラゴンズは面白かったなと、しみじみ懐かしみながら読んでいたけど、ほんの1年前の話なわけだ。特に落合氏が強く反発していた予告先発予告先発なんてものがない方が、野球の面白味は深くなると確信できた。しかし、それは現場の人間の「読み合い」「駆け引き」の面白さであって、観客サイドとしていざ球場に足を運ぶか運ばないかとなると、予告してもらった方が球場に行きやすいかなとも思う。やはり「予告先発制度」は興行として考えると、必要なアイデアなのかもしれない。


 そして、今年に入って僕がよく見たり聞いたりして、気になっているキーワードも出てきた。

 さて、潰れない選手、伸びる選手には、共通点がある。
 特に投手の場合、この共通点は、大成するために絶対必要不可欠な条件だと感じる。
 それは孤独な時間をきちんと過ごせることだ。
(中略)
 孤独な時間を作るのが重要なのは、それが自分を見つめ直す時間になるからだ。そして自分を見つめ直すことは、すなわち一人で野球を考えることになるのだ。
 プロのマウンドというのは想像以上に孤独な場所であり。孤独と友達になり、孤独に勝たないとプロでは勝者になれない。


 ――孤独。孤独って大事なんだな。今年は、前向きなニュアンスでのこの言葉によく出逢うなと。


 出尽くしている話だが、ネットやその周辺端末が普及して、誰かと繋がっている時間が格段に増えた。むしろ、常に誰かと繋がっていると言ってもいい。だから、つい時間があるとtwitterfacebookを更新してチェックしたり(たいしたことは更新されていないのだが)、facebookをひっきりなしにリロードしたりしている。そして電波の悪い場所や状況には、殊更大きな不安とストレスを感じる。あげくドラクエだって、独りで冒険するものじゃなくなっている。


 しかし実は、もっと孤独と向きあった方が人間として強くなれるのだろう。名投手と名監督を支えた参謀が、そう言っている気がする。


 そういえば、ある僕の友人は、夏休みだか正月休みだかの一定期間、田舎に帰省するに伴って、携帯の電源を完全にオフにするそうだ。連絡とれないからそのつもりで、と事前にいつもメールが来る。強くなるには、せめてこういった時間を設けてる必要があるのかもしれない。


◆「孤独」と自分 - Not Found


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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
上司が頼り、部下がついてきた。その人望でしぶといチームができあがった。名将の右腕が明かした落合監督との8年間。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 投手会の夜/第1章 なぜしぶといチームは完成したのか/第2章 教えるより考えさせるコーチ術/第3章 落合博満監督の凄さ/第4章 参謀の心得/終章 選手への愛情は決してなくさない

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
森繁和(モリシゲカズ)
1954年千葉県長生郡一宮町出身。駒大高、駒澤大、住友金属を経て1978年のドラフト1位で西武ライオンズに入団。83年34セーブを挙げて最優秀救援投手となるなど西武の黄金期に活躍、89年から西武投手コーチに。その後、2000年から日本ハム、02年から横浜、04年から11年まで中日と23年間コーチとしてユニフォームを着つづけた。各監督からの信頼厚く、選手への面倒見の良さは有名。中日ドラゴンズでは落合博満監督の右腕として8年間で4回のリーグ優勝、1度の日本一に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)