心霊写真というものについて

 この手の話をするには、季節的にもっと相応しい時期があるように思いますが、思いついたので書いておきます。心霊写真について。


 僕が小学生くらいのとき、こういった超常現象やオカルト的なテレビ番組や雑誌など、よくよく目にした記憶があります。一般視聴者から「霊のようなものが写っている」という写真が投稿され、特別ゲストの専門家が「これはまずいですね」とコメントし、どこかのお寺みたいなところで除霊をしてもらうようなコーナー。当時、こういった未知なる世界には子どもなら誰しも興味を持ち、怖い思いをして夜眠れなくなることはわかっていても、テレビにかじりつくように見ていた記憶があります。どうして、こんな不思議で恐ろしいことが起こるのだろうか、そして自分の撮った写真の中にこういった禍々しいものがなくて本当に良かったなと。


 そして、あれから20年以上の時間が流れました。


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 その間、一般人が写真を撮る機会というのは100倍以上に増えています(詳しい数値は知りませんが「格段に」増えていることは誰でも実感できるでしょう)。携帯電話でパシャリ。現像にお金もかからないし、時間も必要ない上に、撮影したのと同時にメールでどこにでも配信できます。写真というものが、家族で旅行に行ったときの記念、友人が集まったときの記念といった特別なものでなくなってしまいました。となると、心霊写真の類などもうそこらじゅうで登場してもおかしくないはずなのでは、と僕は考えてしまいます。昼飯のいただっきま~すの写真、会議のホワイトボードの写真、そんな画像の片隅に、女性の顔やあるはずのない手が一本くらい写っていてもおかしくはない。でも自分も含め知人からそんな話聞いたことはないし、そもそもテレビ番組ですら「心霊写真」を取り上げることはなくなっているような気がします。あれってナンだったんでしょうか。


 まあ普通に考えられることは、フィルム式のカメラだと、前に撮った映像の残像が残るとかの現象で、偶然にも不気味な写真が仕上がってしまうケースもあったのでしょう。もちろん意図的に奇妙な写真を作成していたことも考えられます。というか、どういう意図があったにせよなかったにせよ、「心霊写真」として紹介されるものには霊的なものは一切なく、除霊そのものがパフォーマンスだったと考えるのが自然でしょう。そもそも霊が写真というものに写るのかどうかも、今となってはあやしいところです。


 とある「科学」が一般社会に浸透すると、どこかしらで「超自然現象」の居場所がなくなる法則ともいえるでしょうか。というか「超自然現象」だと思っているもののほとんどが、人間が意図的につくりあげらたものと解釈する方が正しいのかもしれませんね。