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角田光代著『対岸の彼女』を読んで

review

 iBooksでなんとなくおもしろそうな本を探していて、角田作品なら間違いないだろうということで購入。まあ特別絶賛するこどでもないが満足はできた。


 ざっくりあらすじを説明すると、子育てに追われながらも働く女性とその会社の経営者の過去、コンプレックスや他人の目が気になって仕方がない女子高生時代を描いた2人の女性の物語。軸となっている舞台は非常にありふれたもので、「こういうテーマで物語を描きなさい」と言われたら、なんの変哲もないマンネリしたものができあがってしまいそうであるが、そこに深みを出しているのがさすが。「日常」のリアリティが色濃くあり、何も奇をてらったことはしていないのに、どっこいドラマティックであり退屈もしないという、とてもバランスのとれたストーリーになっている。一方で、何か大事が起きそうで起きないという一面もあり、そこで物足りなさを感じる人もいるかもしれないが。


 そんななか僕がメモしたのはこちら。まあ誰もが疑問に思っている「生きる」こと、もっと泥臭くいうと「生活し続けること」の意味のようなものを非常にシンプルに言い表しているような気がする。

なぜ私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
角田光代(カクタミツヨ)
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年『幸福な遊戯』で第9回海燕新人文学賞、96年『まどろむ夜のUFO』で第18回野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で第13回坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年第46回産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年第22回路傍の石文学賞を受賞。03年『空中庭園』で第3回婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で第132回直木賞、06年「ロック母」で第32回川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)