抗日戦勝記念日と広島平和記念式典

 自分のGoogleカレンダーに、「香港の祝日」も表示されるようにしてる。当然のことながら、日本にいると馴染みのない祝日が見受けられる。例えば、今年2015年であれば、4月のアタマ、3日から7日にかけて祝日が設けられており、大型連休になっている。これらはイースター祭」と言われるキリストの復活を祝った連休である。とはいえ香港はクリスチャンの国でもないわけだが、まあイギリス文化の名残みたいなもんだろうか。一方、5月25日(旧暦の4月8日)は、お釈迦様の誕生日で祝日。日本ではなかなかみられない宗教的な意味合いの祝日があるわけだ。


 で、9月3日にも祝日が設けられており、「70th Anniversary of Japan's Surrender」と表記されている。「日本降伏」とあるので、何かしら興味が惹かれる。


 1945年8月15日が終戦記念日であることは、日本人なら誰でも知っているが、このポツダム宣言のあと、日本が降伏文書に調印したのは、同年の9月2日になるらしい。で、中国では、この翌日9月3日を抗日戦勝記念日としているようだ(調印の翌日から本当の自由を得たという意味合いだろうか)。しかし、去年などは記念日とはいえ、祝日になるわけではなかったのだが、今年2015年は、この降伏から70周年ということもあって、祝日になっているらしい。


 と、ここで2つのことを思った。


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 まず、日本が香港を占領していたという事実をはじめて知った。アヘン戦争後(1842年)、香港がイギリスの植民地になったことはwikipediaの香港のページで厭というほど見て覚えた。しかし第二次世界大戦中の1941年12月25日(真珠湾攻撃をしたすぐ後だ)日本は香港い居たイギリス軍を追い出し、侵略に成功。日本はイギリスに代わり、香港を統治下においたのだった。そして、1945年の日本降伏後、香港は再びイギリスの植民地となり、1997年7月1日(7月1日も香港では祝日)に中国返還され、今に至るという忙しい歴史である。勝手なイメージだが、戦争において日本は、韓国や中国には憎まれるだけの統治や占領、侵略があったのかもしれないけど、その他の国には特にこれといった関わりがないと思っていた。大きな間違いだったようだ。現在、これだけの親日国家である香港にだって侵略攻撃をしていたわけだ(そこで、住民にどれだけの危害を加えたのかは知らないが)。なんとなく心苦しい気分になった。


 一方で、「抗日戦勝記念日」というようなネーミングには、やはり日本人としては良い気分はしない。そもそも人間同士で戦争に勝った負けたなどを記念してどうするんだとも思う。だって僕が何も知らずに、そばにいる香港人や中国人に9月3日は何で祝日なのか訊いたときに、「戦争で日本が負けを認めた記念日です」とか返答されると、お互い気まずいことは目に見えている。過去にあった暗い事実を、何ら関係のない今の人間にまで残さないでほしい。歴史の授業や家族の会話のような身内で語り継ぐことは必要かもしれないが、対外的に目に見えるような場所や形で掲げない方が良いのではないかと思った。争い事は、例えそれが終わったとしても、些細なめんどう事がいつまでも残してしまう。


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 そして今日は広島に原爆が落とされた日でもある。と改めて原爆のことを考え、戦争で被害を受けた側の立場で考えてみると、過去の争いにおいて、傷つけた方も傷つけられた方も、その事実はしっかり認識すべきなのかなとも思ってしまう。世界中のニュースで、今日くらいはヒロシマの式典の様子を放送しろよと思ってしまう。そして、自分の立ち位置によって主張って変わってしまうんだな、でもそれがあらゆるいざこざの根源なんだろうなと感じた。