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映画「イニシエーション・ラブ」を観て

 金沢に帰省していたとき映画館で視聴。上映の最後の日だった。


 で、この話は、去年の秋に小説で読んで、いたく感銘を受けたのだが、映画化されると聞いて、果たしてそんなことが可能なのかと、期待半分、余計な心配半分な気持ちになった。原作は、映像がないからこその「仕掛け」が肝になっている小説だからだ。また、主演が前田敦子と聞いて、いやいや違うだろと。完全にミス・キャストだろうと。まだAKB繋がりなら、大島なんちゃらとか篠田かんちゃらの方が原作のイメージに近いんじゃないかと文句を言いたくなったことを覚えている(というか、実際に言っていたのだが)。


◆乾くるみ著『イニシエーション・ラブ』を読んで


 で、映画である。まあ、開始1分で、「あ、なるほど、これは期待できる」と、「仕掛け」に関しては期待に応えてくれるような気がした。で、次なる不安材料、前田敦子なのだが、実は事前にいつくかのレビューに目を通しており、意外にも彼女の演技、存在は好評価だったのだ。それに引っ張られる部分もあったのか、映画が進むにつれ、自分も前田あっちゃんはアリに思えてきた。というか、映画化にあたって、あっちゃんの存在感に寄せた演出をしたのか、それが彼女の演技力の成せる技なのか定かではないが、すこぶる自然にその役をまっとうしていた。良い意味での裏切りだった。また、僕の場合は、小説を読んだあと解説サイトを探して、「どういう仕掛けがあったのか?」を細かく確認したのだが、映画化にあたって、そういったネタバレ解説も盛り込まれていたので、まだ小説を読んでいない人も充分楽しめる。もちろん小説を先に読んで、映画でおさらいするってのもアリだろう。まあ現代っぽい「ゆとり」な解説をしてもらえるわけである。


 ということで、小説、漫画の映画化は、高アベレージでがっかりするというジンクスを見事打ち破ってくれた作品と言って良い。まあどの映画館でももう上映はしてないだろうけど、いつか観るチャンスがあるなら、観ておいた方が良いと思う。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説ーと思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
乾くるみ(イヌイクルミ)
1963年、静岡県生まれ。静岡大学理学部数学科卒業。98年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞して作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)