ジョガー、マッチョ、ターザン

 最近よく香港の街中でもジョギングしている人をよく見かける(1月に生活していた、九龍公園周辺は、やはり観光地ということで、あまりジョギングには適さない場所だったようだ)。で、そんな中であることに気づいた。香港人のジョガーはかなりの高確率でマッチョなのである。男はもちろん、女もだ。


 まず、どうしてこのマッチョ加減に気づいたかと言うと、まず男のジョガーがいたら、その半数以上が上半身裸で走っているわけである。最初は、高温多湿な香港だから、シャツなど煩わしいのだろうと思っていただけなのだが、どいつもこいつも筋肉ムキムキなことに気づくのには時間はかからなかった。むしろ、その鍛えぬかれた肉体美を公衆の面前で白昼堂々と見せしめる理由づけのために走っていると言っても過言でないくらいだ。そして、女性ジョガーも「女の筋肉美」という特集号の『Tarzan』の表紙に登場しそうなシェイプの人が多いようにも思えてきた。つまり、香港の人は、「走る」ことを目的に走っているのではなく、「身体をつくる」ための目的の一貫として走っている人が多いのかもしれない。走ることは、何らかの手段のひとつであって、目的ではないと。それくらい完璧なボディ・ビルドされた人が走っているのだ。日本のように痩せ型のランナー体型の人や、ダイエット目的のようなぽっちゃり体型の人は、ほぼ見かけない。


 で、ここからは少し話は飛躍するが、個人的な感想。かなり飛躍しているから、細かい指摘はしないように。


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 日本人って、ひとつのことに集中したり、ひとつに賭けるという思考が強いんだなと、マッチョなランナーを見て思った。つまり、香港の人って、ひとつの目的のためには「あれもこれも」と考えるんじゃないかと。お金を稼ぐことに関しても、株や投資を行いながら、仕事もするというスタンスの人が多く、収入源は多いに越したことはないという考え方だ。また、高い給与条件が提示されれば、さも当たり前のように仕事をチェンジする。香港ではないが、アメリカのプロ・アスリートでも、高校くらいまでは複数のスポーツを掛け持ちしている人も珍しくないと聞く。今さら言うまでもないが、「終身雇用」などというのは、日本特有の考え方だろう。学生の部活でも、掛け持ちなんてのは聞いたこともない。「あれもこれも」というのは、日本ではネガティブなイメージとなる。


 もちろん、どれが良いかというのは、一概には言えないし、どちらかを非難する気もない。ただ、何気なく街中を走っているジョガーを見ているだけでも、国によって違いがあり、その理由らしいものを考えるだけでも「ああ、やっぱり日本人」と言われる所以に気づくのだなと思ったまでだ。