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「ない」と言われたモノは本当に「ない」のか?

note

 先日「味覚は変わる」と主張したオレンジの髪の先輩との話の続き。


 2001年くらいのことでしょうか。当時はそんな言葉などなかったのですが、オレンジ先輩は、今で言う「クレーマー」みたいな人でした。「オレは気に入らないことがあったら、ガンガン文句をつける」と、語気を強めて宣言したほどです。受験生の部屋に「目指せ東大!」と書かれた色紙があるように、先輩の部屋には「気に入らなかったら迷わずクレーム!」と書かれた信念が貼られていそうにも思えました。居酒屋で出された料理が粗末だったり、間違いが続くと必ず店長を呼び出してクレームすると言います。オレンジさん曰く「こうやって消費者が感じた意見をお店にぶつけることで、スタッフのレベルも上がる。そうすれば、オレも他の人も良いサービスが受けられるので、決して悪いことじゃない」。確かに仰るとおり。


 で、そんな話の中で、同棲中の彼女に指輪をプレゼントしたときのクレームの話を語りはじめました。


 新宿にある有名デパート内のジュエリー・ショップに出かけたそうです。しがないアマチュア・バンドマンが、わざわざそんな大層なお店に行くわけなので、婚約系の指輪か、大きな記念日用の指輪だったはずです。


 で、気に入ったデザインの指輪を発見します。彼女さんが一目惚れしたそうで、「じゃあ、これを買おう」2人の意見は一致。店員さんを呼び出して、サイズの合うものを用意してもらおうとするのですが、どうもピッタリのものがない。で、スタッフさんに東京じゅうはもとより日本全国の支店に問い合わせてもらったのですが、そのサイズの指輪はなく、ハワイだったかパリだったか海外の店舗にもなかったという返答。「申し訳ございません。日本、海外もお探ししましたが、現在そのサイズの在庫はございません」と。


 元々彼女さんの指のサイズはかなり小さいもので、サイズの合った指輪を探すのに毎度苦労しており、今回も想定内ではあったそうです。あげく気に入った指輪のデザインは、とても珍しいものだという説明があり、この二重のハードルのため購入は諦め、家に帰ることにしました。


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 まあ、普通ならそこで終了なのでしょうが、オレンジさんは彼女のためなのか自身の野生の本能がうずいたのか「本当に、あのサイズの指輪はないのか? 実はあるんじゃないのか?」という疑問が浮かんだわけです。そして、自分で全国にある同じショップの支店、1店1店に電話をして、欲しいサイズの指輪の有無を確認したそうです(さすがに英語はできないので日本だけ)。すると、静岡のお店と福岡のお店にちょうどそのサイズのものがあったのだと言います。もうそこからは、伝家の宝刀を抜くだけ。新宿のショップに連絡をするわけですが、当然スタッフからはすっとぼけた対応されるわけです。「あれぇ、そうですかぁ?」みたいな。反省の色がないとみると、即電話を切り、デパートの代表の番号を押し、「お宅のデパート内のお店の件でクレームです。天下の○○デパートさんで、こんなことがあるなんて思ってもみませんでした」と、話をできるだけ大きくし、もみ消されないように事を進めていくわけです。結果、デパートの偉いさん、フロアの偉いさん、ショップの偉いさん、計3名が、吉祥寺だったか三鷹だったかのアパートに菓子折りを持って謝罪に来たそうです。まあそこまで話を大事にするのも見事と言えば見事なんでしょうけど、自分なら絶対にこんな客に捕まりたくないですね。


 最後のオチとして、「ショップの店員が“ない”と言えば、“ない”ものだと信じてしまうかもしれないけど、でも本当は、今別のことで忙しいしこの商品利益も薄いから探すの面倒だし、“ございません”と言っているだけかもしれない。信用したらダメだよ」と先輩は教えてくれました。でも、今になってみれば、(一流)企業の不正や虚偽など普通にニュースに出てくるくらいなので、「ない」と言われたモノは本当に「ない」のか、「芝エビ」と書かれた料理は本当に芝エビなのか、すべてにいちいち疑ってかかる癖は必要なのかもしれませんね。