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『バトル・ロワイアル』を読んで(2)

review

 知ってる人しかわからないと思いますが、バトル・ロワイアルの登場人物に関して語らせてもらいます。


 まず僕がこの小説を読んで最初にファンになったのが、相馬光子(女子11番)。まあいわゆるヤンキー娘で、カツアゲとか援助交際などをやっている設定。当然、自分が生き残るためにクラスメイトを容赦なく殺していきます。ただ、その背景には壮絶な過去があるわけで、この人物の生い立ちに心を揺さぶられない人はいないでしょう。まあ裏のヒロインみたいな存在です。印象に残らない人はいないはず。


 ただ、その一方で琴弾加代子(女子8番)にも惹かれる部分はありました。設定としては、ごくごく普通の女の子なのですが、序盤から名前だけ登場しつつも、引っ張って引っ張って、かなり終盤になってやっと登場するという、ズルい(おいしい)役回りなので深く印象に残っていました。また、相馬光子はあまりにも現実離れしておりフィクションのためのキャラクターといった位置づけですが、琴弾加代子は、非常にリアリティがあって好感が持てたのです。


 まあ、こんな印象を抱きつつ、映画が公開されたので映画館に行きます。当然映画では、生身の人間が登場するので、相馬光子や琴弾加代子を、どんな役者が演じて、どう表現されるのか楽しみにしていました。


 映画では、相馬光子は柴咲コウが演じていました。というか当時は「柴咲コウとかいう変な名前の女優」と言っていいほどまったくの無名だった頃です。まあ確かに目つきの鋭さなどは、それっぽかったのですが、僕の中での相馬光子はもっと下品な印象だったので、「なんか違うなぁ」と相馬光子熱が覚めてしまいました(もちろん柴咲コウが悪いのではなく、アクマで僕のイメージと違ったというだけです、あしからず)。一方で、女子の綺麗どころとして千草貴子(女子13番)という生徒もおり、こちらは栗山千明が演じていました。当時は栗山千明という女優も知らなかったのですが、僕のイメージする千草貴子とぴったりで好印象。ということで、この映画後、相馬光子派から千草貴子派に鞍替えすることにしました。多分、このこともあって、その後、栗山千明が好きになっていったのだと分析します。


 一方で、琴弾加代子は三村恭代という女優さんが演じており、ロンドン五輪で活躍したサッカー山村和也アントラーズ)選手と最近結婚した模様。映画の方では、出てきたと思ったら、これといった見せ場もなくあっけなく殺されてしまい「なんだ、これだけかよ」と物足りなかった印象が残っています。


 次、男子。男子に関しては、自分がこのクラスだったらどの生徒に近いかなという見方をしていました。序盤はそんなことを気にせず読み進めていたのですが、滝口優一郎(男子13番)という生徒が出てきたとき、「ああ、俺の中学のときは、こんな感じの生徒だっただろうな」という風に感じてしまいました。おとなしめの生徒で、とにかく性善説。誰も悪い奴なんていない、と信じきっている生徒です。もちろん自分を美化している部分もありますが、もし自分が役者として好きな生徒を選べるとしたら、この滝口という生徒を演じてみたいと思ったはずです。で、今回の再読で改めて感じたのが、この生徒と相馬光子のやり取りが、この作品の中でも非常に意味のあるスパイスというかアクセントになっているわけです。非人間的にクラスメイトを殺していく相馬光子に、良心というか女の子らしさが垣間見える瞬間があります。ああ、この展開、上手いなぁと思ってしまいました。


 とまあ、今さら感満載のバトル・ロワイアルについての言及ですが、まだ読んでない人は読んでみてはいかがでしょうか。普遍的な描写が多いので、古臭さは感じないと思いますけどね。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
“死のゲーム”の開始後十八時間、混乱のうちに既にクラスメイトの半数が死亡していた。秋也は中川典子、転校生の川田章吾とともに政府への逆襲を誓うが、その前に殺人マシンと化した桐山和雄が立ちはだかる。生死の狭間で彼らそれぞれが守ったのは、意志か、誇りか、約束か。中高生を中心に熱狂的な支持を得た新世代青春小説の金字塔。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
高見広春(タカミコウシュン)
1969年兵庫県生まれ、香川県育ち。大阪大学文学部美学科卒業、日本大学通信教育部文理学部中退。四国新聞社で五年間勤務後、『バトル・ロワイアル』でデビューした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)