顔剃り

 床屋さんに行くと「顔剃り」なる工程がある。ヒゲ剃りの延長で、眉のまわりや頬など顔全体の産毛も全部剃ってしまうわけだ。で、よくよく言われているのが、この顔剃りが気持ちいいということ。僕が小学生の頃からよくよく耳にしている。おそらく女性は顔剃りなんてしないだろうから、母親やばあちゃんからではなく、父親や親戚から指摘されたり、テレビや漫画などで見かけていたのだと思われる。


 で、実際問題、当時「顔剃り」が気持ち良かったかというと、まったくその気持良さがわからなかった。むしろ温かいタオルを顔に乗せられることの方が気持ち良く、これをマックスにして、その後ジョリジョリやられることに快も不快も感じなかった。気持良さを感じようと努力をしても、たいした成果はなかった。で、子供ながらに「きっと、これは自分が子供でヒゲとか生えてないから、気持良さを感じないんだ」と自分に言い聞かせて納得していた。で、そのまま何も変わらずに今に至る。つまり、大人になった今だってたいして気持ち良いとは思えないし、温かいタオルを乗せられることがメイン・イベントみたいなものなのだ。


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 で、僕が思うに、きっとこれって、みんなが「気持ちいいよ」と言っているから、その良さがわからないけど自分もそういうことにしておこうてノリで口々に広まっただけの話なんだと思う。もしくは全国の床屋さん組合が顔剃りPRのために設けたキャンペーンなのかもしれない。もし、そういう組合があればの話だけど。


 というようなことを、きのう半年ぶりくらいに行った床屋さんで考えていた。もちろん、このときも顔剃りに対して何も感じることはなかったのだが。ところで、ヒゲだけじゃなく、刃物をあてて顔中剃っちゃうっての、世界的にも広く行われているのだろうか。結構、物騒なサービスというか、完璧な信頼関係がないと成り立たない行為だと思うんだよね。