電車でGO

 つい先日見かけた友人のツイート。「小学生の子供が、友達だけでイベントのパンフなんかを見ながら電車に乗っているのを見ると、都会だと思う」。僕も東京にいた頃、おそらくちょうど今時分の夏休みに、ポケモンのスタンプ・ラリー実践中の小学生の男の子数人を電車内で見かけたことがあった。各駅に設置されているポケモンのスタンプをそれ専用の用紙に集めていき、コンプリートすると、なにかアイテムかカードかがもらえるのだろう。あと、コレとコレが必要で、この駅に行ってからこの駅に行こうみたいなことを相談していた。まあ多分、僕が彼らに気づく前から、30回ほど確認しあってることなんだろうけど。そして該当の駅に電車が到着すると、彼らは文字通り扉をすり抜けるように飛び出し、スタンプ置き場までダッシュしていった。あの思い切りの良いスタートができれば、内海・阿部慎之助バッテリーからの盗塁も苦じゃないだろう。このときも、ああ都会だな、こんな遊びがあるのかと思ったもんだ。


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 そして、「ああ都会だな」と感じてしまうのは、歩きや自転車ではなく電車という移動手段を利用できている点と、校則や大人からのルールがないのか非常に広い行動範囲で遊べている点にあるのだと思う。


 そもそも僕なんて、19歳で東京に出てきて、切符を買うことからはじまり、電車に乗ること自体にいちいちビビっていたくらいだし、目的地までの乗り換えなど何度確認しても不安でならなかった。そんな高度な移動手段を、10歳程度の子供が堂々とやって退けている、というよりやって退けないと友達と遊びに行けないという環境であることに、世界が違うなと感じてしまう。また、田舎などは「人が集まるところには必ず悪い人がいて、トラブルに巻き込まれる」という理由づけて、繁華街などには出かけてはいけないものだった。でも、東京なんて朝、駅に行っただけで、田舎で見かける1ヶ月分くらいの人間が右往左往しているわけで、「人が集まっているから」といった理由で、子供の行動範囲にルールを設けることなどできないんだろうなと思ってしまう。まさか、渋谷には子供だけで遊びに行ってはいけません、でも中野くらいなら良いです、みたいなことは言われないだろう。ある程度の暗黙のルールの中で、子供たちは電車に乗って、「おもしろそうな場所」に出かけるのだろう。ましてや、東京なんて、「おもしろそうな場所」はたくさんある。本当に「おもしろい場所」は少ないかもしれないけど。


 まあ子供にとってみれば、何をしたところですべてが新鮮に感じるわけで、子供が電車に乗って遊びに行ってるから都会が優れているなんて思いはしないのだが、「都会」を象徴する夏休みの一幕だなと思った。