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ムラサキイロノカガミ

 僕の小学校で流行っていた噂話。3~4年生くらいのときがピークだったはず。「ムラサキイロノカガミ」という言葉を二十歳まで覚えていると死ぬとか不幸になるといった内容だった。まあ子どもが好きそうな話題で、当時も人をからかうのに「ムラサキイロノカガミ」というワードは切り札的な存在だった。「ムラサキイロノカガミ!」「あ~! せっかく忘れてたのにぃ~!」というようなやりとりを休み時間毎にやっていた記憶がある。二十歳まであと10年以上あるのに、1時間毎に忘れていた、思い出しちゃったで一喜一憂していたわけだ。暇を持て余した遊びといったらこの上ない。


 まあ「二十歳まで覚えている」という絶対条件からして至極曖昧で、誕生日の0時0分のその瞬間のことなんだろうか、だったらそんな遅い時間はきっと寝ているだろうから大丈夫だ(小学生にとって深夜0時など銀河系の端っこのような遠く無縁な世界だった)と安堵したり、それとも二十歳の間の1年間だとしたら絶対思い出すよな、だったら絶対無理だ、俺死ぬ、と途方に暮れたりしていた。というか、日本の法律上は誕生日の1日前に年齢が上がることになっているので、この法律に基づいた基準なのか否かも議論の余地ではあったのだが。まあともかく当時は毎日毎日この話題でもちきりだった。しかし、もちろんこんな小ネタなど中学に上がる頃にはすっかり忘れており、その後二十歳になるまで1~2回くらいは、大きなくしゃみをしたら顎が痛くなったといったような、なんかのはずみでふと思い出したりもしたけど、僕の記憶の中からはさっぱり消えてしまったといっていい。そして22歳か23歳くらいに、あ、そういえばムラサキイロノカガミとかいうの流行ってたな。でももう俺、二十歳過ぎてんじゃんと、完全に向こう側に行ってから思い出したことを覚えている。もちろん、こんな都市伝説の真偽など興味はないのだが、「もうまったく関係ない側」になってしまったことに、ひどくさみしさを感じたことは覚えている。10歳当時の僕からしてみれば、二十歳のときに忘れていられたわけで、なにより安心するはずなのに、無性に切なくなったと。


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 で、今調べてみると、「ムラサキイロノカガミ」は、トイレの花子さん的な学校の怪談のひとつであるようで、特別ローカルなものではなく、それなりにメジャーな都市伝説だったようだ。当時はコックリさんの類似である「ブンシンさん」というのも流行っており、2人で鉛筆を握って「ブンシンさん、ブンシンさん、誰々の好きな人の名前を教えてください」などとお願いをすると、鉛筆が勝手に動いて名前を書き出すといった、おまじないめいたことも流行っていた。ブンシンさんは、なんでも知ってるななどと、ブンシンさんの存在は親や先生よりも絶対的なものだった。まあこれも、2人で鉛筆を握っているということから、お互いに責任逃れができる状況であるわけなので、無意識のうちに鉛筆を動かしているだけなんだろうけどね。まあとにかく、今の学校でもこういった子どもじみた流行りってあるのかな。今じゃ、妙な噂も、おまじないも、携帯のアプリで済ましていたら、それはそれでさみしい気もするけどね。