3月6日付の日経MJに、全面広告として、TOPPAN社の以下の広告記事が掲載されていました。ウェブ上で見ると、なかごちゃごちゃしてるだけの写真のようですが、実際に新聞紙を広げて、この絵が飛び出てくると、けっこうな迫力があります。いい広告だなと思いました。


◆凸版印刷|あなたがあなたであると、どうやって証明しますか。


 このデザインでは、影の方が人間らしく見えてしまいます(もちろん、そういう風につくっているのであって、そもそもこのように影ができるはずがない)。しかし現実社会でも、自分の立ち位置や相手の立ち位置によって、「自分」というのを変えて僕らは生活しています。上司の前では影は薄く小さいかもしれないけど、部下の前では影は必要以上に大きく迫力があるとか。だから、すごくリアルに感じました。別にこれはインターネットのセキュリティがどうとかの世界に留まらないと思います。何事においても、自分と自分の影の境目が非常に曖昧になってきているのだと思います。


 そして、昔読んだ村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に登場した「僕」の「影」に非常に惹かれたことを思い出しました。この影は何のメタファーなんだろう、影という一般的には不気味な存在なのに悪い奴でもなさそうだし、と。


 自分と自分の影との距離感というのが、このご時世を生き抜くキーワードのひとつのように思えました。