投票率が悪いのは、誰のせい?

 春先に『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?』という本を読んで、ふむなるほどと、少し選挙にも関心が出た。それで、これまでは何を言われようと投票に関しては無視する側だったのだが、今回は選挙に行こうぜと呼びかける立場になった。すると、不思議なもので報道される情報や数字も把握できるようになって、世の中を見る視野がぐっと広がったような気がする。不思議なもので。


 と、ここまでは問題ないのだが、フタを開けてみれば、戦後最低という投票率らしい。


 僕は、誰それが当選したとか政党がどうこうとかよりも、投票率の方に関心があっただけに、なんとまあ、という気分だ。それこそ、自分一人くらいが選挙に行っても行かなくても、何も変わらないのかという気分にすらなる。


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 この投票率に関して、12月という時期が悪かったとか、寒さや天候がどうとかいろんな理由が挙げられているが、僕はメディアが悪いと思っている。メディアの選挙というものの取り上げ方だ。これだけ、たくさんの政党が立ち並び、ああでもないこうでもないという主張を述べ合い、あげく醜い揚げ足取りを繰り返すことを連日報道していたら、誰だって「政治って難しい」と感じる。かつての僕がそうだった(まあ今でも正直そうなのだが)。そして難しいものには、人は関心を示さない、寄り付かない。結果、投票にも行かないのは目に見ている。確かに、視聴率のことを考えれば、各政党の代表者をずらっとならべて、絵に描いた餅の話をしてもらい、それにケチを付けあってもらった方が俄然期待できるだろう。一種のエンターテイメントのように。でも、その結果は難しいことを敬遠する人が増えるだけなのだ。


 また、どのメディアも、二言目には「権利」「義務」みたいなワードに頼っていて、取ってつけたような正義感を有権者に植え付けようとばかりしている。でも、そもそも選挙に行かないような人間は、こういう正義感を偽善じみたものと捉え、嫌うに決っている。かつての僕がそうだった(まあ今でも正直そうなのだが)。権利だ義務だ政治参加だ国を変える意識だと言われれば言われるほど、かたくなに選挙には関心を示さなくなるわけだ。メディアは話を難しく伝え、知識のない人を排除している。メディアは間違ったアプローチで、ひねくれ者をさらにひねくれさせている。


 大事なのは、シンプルに投票に行こう、じゃないと自分たちの世代に不利な政策がどんどんできていってしまうんだということじゃなかろうか。メディアさんは、選挙に行かないことがどれだけ不利益なのか、もしくは選挙に行くことでどれだけの利益があるのかを、もっと簡単に説明し、発信すべきな気がする。まあ、もちろんメディアだって営利団体でビジネスでやってるわけだから、投票率を上げることより、視聴率を上げる方を優先するのだろうけれど。


 そもそも、今の政治、政党に関しても、メディアの紹介の仕方一つで大きな影響が出てしまう。支持率なんて各メディアのさじ加減一つでどうとでもなると僕は思っている。政治よりも報道が強いことに問題の根源があるのではないだろうか。


◆【衆院選】確定投票率は59・32% 10ポイント下落し戦後最低に - MSN産経ニュース (2012.12/17)