沼田まほかる著『九月が永遠に続けば』を読んで

 春頃か夏前くらい、書店でやたらとパワー・プッシュしていたのでとりあえず図書館で予約。もちろんタイトルの通り9月に読みたいなと思っていたが、予約数が多く、11月になってやっと順番がまわってきた。まあ、そうは問屋がなんとやらだし、そもそも9月はドラクエ・マンスだったので、むしろ遅れてくれて正解だったとも思う。


 書店のポップでは「エロくて切ない」みたいなコピーがつけられていたので、勝手にグロくて理不尽な話を期待していたのだが、わりかしストレートな物語だったように思う。また、第5回ホラーサスペンス大賞受賞作らしいが、「ホラーサスペンス」でもないだろうとも感じてしまう。まあ、おもしろい作品には間違いなのだが、付随する情報とは差異を感じたというのが正直な感想。


 とにかく、この作品を読んで感じたのが、母親という生き物の愛情の強さ。たしか去年、「八日目の蝉」の映画の感想でも、ちょくちょく「我が子を想う母親に圧倒された」というものをよく見かけた。「自分の子どもがわかいいのはわかるが、父親である自分はここまでの愛情を持っているのか考えさせられた」という多くの男からの意見を覚えている。僕は「八日目の蝉」の小説も映画も見ていないけど、似たような思いをこの『九月が永遠に続けば』から感じることができたと思う。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに、出口はあるのかー。人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
沼田まほかる(ヌマタマホカル)
1948(昭和23)年大阪府生れ。主婦、僧侶、会社経営などを経て、2004(平成16)年『九月が永遠に続けば』でホラーサスペンス大賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)