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『グラゼニ』(1~3巻)を読んで

 同僚に貸してもらった漫画。これがすこぶるおもしろいです。


 まず、タイトルの「グラゼニ」という言葉ですが、「野球グラウンド+銭」という意味の造語。つまり、金銭面中心に語られる野球の話です。ピンチを脱した――給料上がるかも、大きなミスをした――査定に響くな……、といった部分が中心。少し前に話題になった「マネー・ボール」は、野球を経営サイドから捉えた物語でしたが、こちらは主人公である野球選手自身が考える「金(給料・年俸)」といった切り口です。そして何より、主人公が左の中継ぎ投手という、この地味な設定が素晴らしい。また、その容姿もパッとせず、アイドル性のカケラも見当たらない泥臭いもの。この舞台全体が、ドラマや浪漫や感動といったきれいごと抜きの、とても現実的な造りになっているのです。理想論だけ語られた下手なビジネス書なんかよりも、よっぽど金の動き、世の中の仕組みを把握できるでしょう。「このマンガがすごい! 2012」オトコ編第2位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2012」8位だとか。


 ちなみに、1巻スタート時点での主人公の年俸は1800万円(高卒8年目26歳)。これを2012年の投手(推定)で見ると、次の5人の投手が挙がります。



 こう言ってはナンですが、けっこう地味だと思いませんか。山内投手は今年はじめて10勝を挙げ活躍し、岩嵜投手も今年登板数が増えましたが、一般的な知名度のある選手とは言えないでしょう(少なくとも僕にはあまり情報がありません)。ともかく、『グラゼニ』は、このクラスの選手が主人公という漫画です。ちなみに僕は、「左の中継ぎ」という設定で、中日の小林正投手を即座にイメージしました。が、今調べると、小林正投手の年俸は、6400万円(10年目32歳)。また、主人公のチームは、スワローズをモデルとした球団で、スワローズの中継ぎと言えば、押本健彦投手。押本投手の年俸は、6800万円(9年目30歳)。まったく各上ですね(まあ年齢的な部分もあるかもしれませんが)。ふと名前が浮かぶプロ野球選手というのは、もうそれだけで大成功者、一流選手ということなのでしょう。


 ただし、当然のことながらプロ野球選手とはいえ、普通に街を歩いたり、お店に出入りしても誰にも気づかれないような選手はたくさんいます。僕だって、すべてのドラゴンズの選手の顔と名前を把握しているわけではありませんし、多分山内投手、小林正投手だって、街でばったり見かけても気づかないでしょう(ユニフォーム着てて背番号がわかれば別ですが)。まあつまり、このある意味、親近感があり、しかし「プロ野球」という夢の舞台に立っている人という位置づけが、この漫画をおもしろくしているひとつの所以だと思います。また物語の中には、野球を諦めて、一流のビジネスマンとなったキャラも登場しますが、僕はたとえ年俸が低くても、中継ぎという地味な役回りでも、容姿がぱっとしなくても、「プロ野球選手」でる主人公に憧れを持ってページをめくっています。自分がプロ野球選手であるこの主人公ならどう考えるかをついついイメージしならが読み進めてしまっているのです。プロ野球という世界は、それだけ強い強い憧れがあるんでしょうね。ただ、アクマで一般人としての外野からの見方なんでしょうけど。


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