『100円のコーラを1000円で売る方法』を読んで

 会社で配布され、読了。


 茶番のようなキャラ設定に、かなり抵抗があったが、書かれている内容はどれも納得のいくものばかり。「安さ」が絶対的に「善」ではないことがわかりやすく説明されているし、価格面以外でも勉強になった部分は多い。


 僕も、商品の値段ほど曖昧なものってないよなと思っている。値段の安い、高いで一喜一憂しているわりには、実は僕らは、接客によるそのときの感情に流されて購入決定をしている。高いものでも(安くなくても)、納得がいけば喜んで購入する。100メートル走にたとえるなら、スタート地点では、「安さ」というゴールに向かって走りはじめるのに、ゴールしてみたときには「納得」であったり「安心」であったりとまったく違う場所にゴールしている。ところが、たいていの場合は、それで満足したり充実感を得られたりできているわけだ。


 つまりは、しょせん商品の価格なんて、それだけ曖昧で流動的な価値なんだと、強く認識しておくことがまず重要なんだと思う。安いから良い。他店より安くないから良くない、みたいな判断は、もう日本国民全体でやめちゃおうよと言いたくなってくる。そうやって考えだすから、みんな買い物しなくなるんじゃないかなと。買い物、消費ってのは、もっと楽しいものでなければいけない。価値を感じられるものには、惜しみなくお金を使うべきである。でもまあそう考えると、悪いのは消費者側ではなく、売る側なんだろうと思う。売る側は、100円のコーラを1000円で売ることができる姿勢とスタンスを身につけなければね。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
新人商品プランナー・宮前久美が挑んだのは、「Appleにできて日本企業にできない壁」だった。彼女は日本が抱える課題ー「高品質・多機能。でも低収益」から脱却できるのか?コトラーからブルーオーシャンキャズム理論まで1冊でつかめる。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 アメリカの鉄道会社はなぜ衰退したのか?-事業の定義/2 「お客さんの言いなりの商品」は売れない?-顧客絶対主義の落とし穴/3 顧客の要望に100%応えても0点ー顧客満足のメカニズム/4 値引きの作法ーマーケットチャレンジャーとマーケットリーダーの戦略/5 キシリトールガムがヒットした理由ーバリュープロポジションとブルーオーシャン戦略/6 スキンケア商品を売り込まないエステサロンー競争優位に立つためのポジショニング/7 商品を自社で売る必要はないーチャネル戦略とWin-Winの実現/8 100円のコーラを1000円で売る方法ー値引きの怖さとバリューセリング/9 なぜ省エネルックは失敗してクールビズは成功したのかーコミュニケーションの戦略的一貫性/10 新商品は必ず売れない?-イノベーター理論とキャズム理論

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
永井孝尚(ナガイタカヒサ)
日本アイ・ビー・エム株式会社ソフトウェア事業部シニアマーケティングマネジャー。1984年に慶應義塾大学工学部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。1991年よりIBM大和研究所の商品プランナーとしてグループウェア製品を企画し立ち上げるもバブル崩壊で大苦戦。マーケティングプロモーションの傍ら、セールスとして全国を飛び回り、3年間で多くの大規模プロジェクトを獲得する。1996年にはグループウェア製品開発チームのマネジャーとしてお客様をサポート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)