ロンドン・オリンピックだった2

 サッカー。


 女子サッカー銀メダルのなでしこさんだけど、彼女らは完璧なまでに完成されたチームのように見受けられる。だからこそ、彼女らが勝ち進むに連れて、僕は、危ういな、という印象が強くなっていった。


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 まずその前に、僕がまったくの人事ながら心配していることを説明しておく。日本のスポーツ界全体が極端に二極化しちゃってることだ。メジャー・スポーツとマイナー・スポーツの落差が大きすぎる。特に男子は、野球、サッカーに人気が集中しすぎていると思う。


 中学で部活の顧問をやってる知人は、「今はもうオレらのときと違って、運動神経の良い奴、背が高かったり身体的に恵まれている生徒は、まず間違いなく野球部かサッカー部に入る。根こそぎ、ごっそりと。だから、身体能力的にクラスでも真ん中くらいの子を、その他の部活で取り合う形になって、育てるのに非常に苦労する」と、涙目で笑いながら言っていた。確かに僕の時代は、子どものスポーツといえば野球オンリーだった。しかし、まず野球をやっているか、やっていないかでカテゴライズされ、やっていない子どもが中学でいろんな運動部にバラけるイメージだった。しかし、今はほとんどの子どもが野球かサッカーをやっている。しかも我先にと英才教育的に幼い年齢から。だから当然そのスポーツを続ける人口も増える。逆に言えば、いろんなスポーツに触れる機会が少ない。偏っているわけだ。


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 ここ最近のオリンピックで女子が活躍しているのは、つまりは男子がぱっとしないためであり、男子がぱっとしないのは、みんな野球やサッカーをやっていて柔道やバレーボールなどの競技に人材が不足しているせいではないだろうか(まあ野球も北京じゃ散々だったが、人材が有り余ってることには間違いはない)。


 ただ、女子の場合は、そこまで極端な偏りはなかったのだろう。そもそも女子のプロ・スポーツというもの自体あまりないため、人気が偏る要因も少ない。が、今後サッカー人気が一気に加速すると、女子柔道界や女子卓球界も人材不足になってしまうのではないかと心配になってきたってわけだ。これが僕の感じた、なでしこが勝つ度に感じた危機感のようなもの。ましてや、なでしこのあの姿を観て、簡単に憧れてしまうこともとてもリスキーである。「仲良さそう」「楽しそう」みたいな華やかな部分だけに注目し、そして強くなる、と調子の良い解釈をする子どもが増えるんじゃないかなと。彼女たちは、女子サッカーというどん底にあったマイナー・スポーツをオリンピック銀メダルという最高峰のレベルまで引き上げたからこそ、最後に笑えるわけだ。最初から笑いながら練習してたわけじゃない。でも、僕らには、そういう風にも見えてしまうくらい、完成されたチームであり、だからこそ強いのだ。


 僕はどうもひねくれた見方をしてしまうのだが、確かにサッカー男女の健闘はすばらしいが、体操やレスリングや水泳や柔道や卓球やバレーやが、もっと脚光を浴びていればなとも思ってしまった。