上半期俺的優良書籍BEST5

5位


 チャンドラーの『ロング・グッドバイ』は再読ですが、文章の「書き方」というものを改めて考えさせられました。私見よりも見たものの描写力。文章を書いているとどうしても何かしらの「主張」をしたくなりますが、「主張」と「描写」のバランスを考え直す良いきっかけになってくれました。


 『若者は、選挙に行かないせいで~』では、選挙はもとより「社会」というものに対して、前々から気にはなっていたことを具体的に綺麗事抜きで書かれていたので、たいへん読みやすかったです。やはり庶民が、何も考えずに生活していると、搾取されてしまう一方なんでしょうね。


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4位

  • 田沼靖一著『ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝』


 「生命」と「死」というもの(幾分形而上的な側面もありますが)の距離感を掴めた気がします。「死」は、ほとんどが理不尽に襲い掛かってくるもので、その度に悲しみにくれなければいけないものですが、それはあくまで人間の都合の話。遺伝子にとってみれば、古くなった個体の「死」「停止」を設け、優秀な個体のみを生き残らせることで全体の進化がより活性化されるわけです。「生物は遺伝子の乗り物」という理論。とはいえ、「死」の恐怖や悲しみが軽減するなんてことないと思いますが、客観的に「死」というもの見つめるために必要な知識は得られたような気がします。


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3位

  • 林郁夫著『オウムと私』


 林郁夫の懺悔録のようなもの。オウムの主犯格の中で、逮捕後にもっとも「目を覚めした人」と言って良いのではないでしょうか。しかしこの本の中には「救済」といったものが見受けられず、あれだけの事件を引き起こしたオウムという組織の不条理さであったり理不尽さであったり杜撰さを見せつけらた気がしました。とても暗い気持ちになります。ただ、それでも決して目を逸らしてはいけない事柄のような気がします。特定の宗教がない日本だからこそ、真剣に考えなければいけないと。


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2位

  • 鴻上尚史著『あなたの思いを伝える表現力のレッスン』


 一番最近読んだ本でかなり楽しく読み進めました。全般的には、演劇やお芝居をしている役者さん向けの実演を含んだ「レッスン本」。僕が思うに、喋りでも文章でも「表現」とはとてもいい加減なデジタル・アウトプットで、自分が感じたり思っていることをストレートに表現できることなどないわけです。そのデジタルな表現を、できうる限り柔軟なアナログにするためには、知識を詰め込むよりも、身体を使ったトレーニングをしようというアプローチ本です。


 しかし、役者でなくとも、自分の思いを伝えることや表現することは生きていく上で必要不可欠であり、むしろ上手に生きていくためには、その場その場で優秀な役者となり、それなりの演技をしているはずです。そう考えると、演劇をやっている人から学ぶべき部分は大きいのかもしれません。人は、誰でも求められる役柄を演じているわけですから。働いているときと、家族と過ごしているときと、学生時代の友人と食事をしてるときのキャラクターが同じなんて人はいないはずです。職場の中でも、ときには雄弁な営業マンになったり、繊細なクリエイターになったり、厳格な上司になったり、忠実な部下になったりします。人は下手な役者以上にいろんな役柄を演じているわけです。それができず、何も考えずに「いつも自分らしい自分」を素で出してる人は、単なるやっかい者となってしまうはずです。以前、役者をやってる人間は、実生活でどこまでが演技で、どこからが本音なのかわからないから友達になりたくないと書きましたが、実は常に本音を語り、場をわきまえない人間の方が付き合いづらいキャラクターなのかもしれませんね。



1位


 幾分強引な見解もありましたが、大筋で強く共感しました。僕は最近この「まじめ」の捉え方が本当に人それぞれだなと痛感し、むしろきれいに逆転してしまっている人にたくさん出逢います。まじめにやるべきところでどういうわけか手を抜き、手を抜いても良いところでガチガチにまじめに(というか律儀に忠実にマニュアル通りに)取り込んでいる人が多くいるわけです。これまで僕の考え方がおかしいのかなと少し不安になっていたのですが、この本を読んで安心しました。


 テレビでたまに見かける「はじめてのお使い」は、子どもがやっているから微笑ましいわけで、大の大人が「はじめてのお使い」のように手元のメモ通りに「まじめ」に動いたり悩んだりしているのは見るに耐えません。もちろん僕にだってそういうきらいはあるはずなので、「まじめ」の捉え方を誤解したいように気をつけたいです。


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