JFL観戦-ツエーゲン対SAGAWA SHIGA FC

 ツエーゲン金沢が実施中の「パートナーエリア」について説明しておこう。


 簡単に言えば「お試し観戦企画」みたいなものだ。金沢市内を7つのエリアに区分けし、5月6日からのホームゲーム7試合において、それぞれ対象となるエリアが決められ、発表された。その対象エリアに住んでいる人は、免許証などを提示すれば無料でその日の試合チケットをもらえるという企画である。タダにするから、とりあえず試合を観に来てくださいと。そして6月3日は金沢城南地区が対象ということで参戦したわけである。


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 ついでにツエーゲン金沢についても僕の知りうる限りの情報をまとめておく。ツエーゲン金沢は2010年からJFLに参加し、同時に元日本代表の久保竜彦が加入したということで、当時ちょっとした話題になった。その年、僕も野次馬気分で2試合競技場にに足を運んだくらいだ。もちろん久保選手1人を観るためにである。しかしお目当ての背番号9は、ほとんどボール・キープすることはなく、ワンタッチでボールをはたいて前線にダッシュするのだが、シュートまで繋がらないという場面が幾度となくあった。イメージが共有されていないのか、技術的な問題なのか、もしくはその両方なのかは定かではないがあまり噛み合ってないのだ。カタコトの日本語しか喋ることのできないネパール人との会話のように歯がゆいものがあった。だから久保選手のシュート・シーンなどはほとんど観られず、「さすが元日本代表!」というプレーはまったく記憶にない。サッカーは、まわりとの連携がものをいうスポーツなのだろう。


 翌2011年は、コンディションが良くないのか、久保選手は試合にあまり出場してなかったようである。ので、僕もツエーゲンの観戦には1試合も行かなかった。すると案の定、昨シーズン終了後に現役引退を発表。また、同じフォワードで古部健太という運動量豊富な選手も移籍し、ツエーゲンは名実ともにオフェンスの看板選手を失ったわけだ。そしてむかえた今年2012シーズン、その影響があるのかないのかは定かではないが、勝ち星にも恵まれず、順位も低迷。僕自身も「なんだこりゃ」という思う部分も少なくなかったのだが、せっかくの無料観戦ができるという企画なので楽しみにして足を運んだわけだ。


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 この日も絶好の天候。暑過ぎず、風で寒いわけでもない。そして競技場のメインスタンド側はいい具合に日陰になり、外で時間を過ごすには絶好のコンディションだった。雲の上にいるお天気の担当者が、この時期できうる限りのサービスを施してくれたみたいに。そして無料でチケットがもらえたわけなので、背番号12のユニフォームTシャツを購入。少しくらいはお金を落としてあげようと思ったわけだ。これでおもしろい試合を観ることができれば申し分ない。ここまでは万事順調である。この日の動員は1,444人。


 しかし試合はどうも攻撃陣に迫力がなかった。裏への飛び出しもなければ、全体での押し上げもない。時折サイドからえぐるシーンがあったが、前線に人が居ないので手詰まりになる。元々ツエーゲンがどういうチーム・スタイルなのかわからないのだが得点の可能性があまり感じられなかった。得点の取り方を習ってないと言い訳をする自主性のない学生たちのように。そうこうしているうちに後半37分に失点。


 そして1点ビハインドで迎えた後半ロスタイム。当然ながら、引き気味に守りを固める相手に対し、やっと波状攻撃が観られるようになり、2~3本連続でコーナー・キックのチャンスを得た。サポーターは奇跡のロスタイム同点ゴールを期待し、ヴォルテージも上がる。これを観に来たんだと言わんばかりに。しかし、センター・サークルあたりでカウンターを狙っている相手チームのフォワード1人に対し、ツエーゲンのディフェンダーが2人びっちりマークをしてるわけだ。これにはがっかりだった。キーパーも含め全員攻め上がっても良い状況だと思うのだが、どうしてこの期に及んで0-2で負けないためのリスク・マネージメントをやっているのか。結果、0-1でホイッスル。当然である。


 無料の「お試し観戦企画」で「にわか」人間を招いているわけだから、多少の無茶があっても、おもしろさを感じさせなければ、単なるチケットばら撒きの「タダ企画」で終わってしまう。それどころか「つまんない」という印象を無条件に与えてしまっては、もう二度と(ましてやお金を払ってまで)応援には来ないだろう。もちろん選手は選手で懸命にやっているのだろうけど――否、その前に選手・監督と運営サイドで、企画のコンセプトを共有できているのだろうか。負けたとしても「おお~っ!」というシーンをつくり、後日誰かに思わず話したくてしょうがないという見どころをつくらなければ意味が無い。ピッチ内の攻守もクラブとしての運営もちぐはぐさが垣間見え、どうも残念な印象しか残らなかったのが正直な感想である。


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 とはいえ、何をするにも痛みは伴うもの。主力選手が抜け、戦力、人気ともにダウンした今年はいわゆる過渡期にあって、そもそもこの「パートナーエリア」企画だって苦し紛れに突発的に敢行されたものに違いない。


 だから、まだ自分の住んでいるエリアが「パートナーエリア」としての日程で残っていたら、ぜひ観戦に行ってみてほしいと思う。どうせタダなのだ。日光浴気分で出かければいい(天気が良いことが前提条件だが)。そして1つでも「おっ」と思う部分を感じられたら、それは6月3日時点からみて、Jリーグ昇格へ向けてのチームの成長なのだと思う。伸びしろはいくらでもあるはずのチームなのだ。その可能性は充分にあるはずだし、強いチームなってくれれば、それはそれで申し分ない。まあ気長に応援していこう。オラが町のチームなのだから。


◆ツエーゲン金沢オフィシャルサイト|ホームゲーム「パートナーエリア」事業の実施について
◆ツエーゲン金沢オフィシャルサイト


【やきう同好会(金沢支部)2012年成績】


JFL

カード 勝敗 球場 戦評
6/3 金沢0-1サガワ 西部
緑地
「パートナーエリア」観戦
攻撃陣覇気なし零封負け


BCL

カード 勝敗 球場 戦評
5/5 石川5-1福井 石川
県立
森M's3年連続開幕戦勝利!
助っ人外国人5人活躍!